サイト更新日2024-05-30

ステンドグラスと工房の現状

9〜11世紀頃に始めて造られたとされるステンドグラス

明治時代に日本に渡来して以来、大正、昭和を経て現在に至るまで、その時々の世相を反映しつつ建築の脇役としての地位を堅持し続けています。
ステンドグラスと云えばやはりノートルダム大聖堂などに代表される教会の色鮮やかな大きな窓と云うイメージが強いのではないでしょうか。
 しかし現代のステンドグラス工房に於いて実際には教会のステンドグラスの需要は殆ど無く、私の経験から言っても以前工房に勤めていた時期に二度ほど、ここ数年でキリスト教系列とは云え教会ではなく、教育機関や施設に二三度携わった程度です。全国に大・小数あるステンドグラス工房においてもおそらく同じような現状だと思われます。
 ではステンドグラス工房はどこにその仕事を納めているのでしょうか?おそらくその多くは一般の住宅、また飲食・物販などの店舗や商業施設がほとんどで、教会に近いイメージとしては結婚式場などの一部に限られていると思われます。
 この様に一般的に持たれているステンドグラスのイメージと工房の実際の仕事には微妙な、しかしデザインという側面から見ると大きな違いがあるのです。
 
 

ステンドグラスの在り方

このようなステンドグラス工房の実際に活躍している現場とその仕事内容、デザイン的意味や役割を考える時、現状のステンドグラスの在り方で良いのか疑問を感じる事があります。
 
 

建築関連業界の場合

10年前と現在では意匠的には建物自体にさほど大きな変化は感じないかも知れませんが、建材や付帯設備は10年なりの進化を遂げています。20年、更に30年40年前となると、時代に伴い変化する私たちのライフスタイルと共に、各種電化製品や設備機器、建材に至るまで、その産業に係わるすべての部分が進化し、新たな提案を繰り返しています。当然それらを駆使し、統合して造られる建築に於いては新たな提案や発想なしでは産業としての発展は考えられません。そしてそれらの産業すべてに於いてデザイナーが存在しデザインの役割を果たそうと日々頭をひねっているのです。