価格の安いステンドグラスの注意点

比較的、或いは、驚くほど安く売られているステンドグラスについて考察してみます。

■大前提として本物のステンドグラスであるか

私どもの言う”本物以外”のステンドグラスとしては、色の付いた樹脂を流し固めたものやテープ状の鉛腺に見える素材をガラスに貼り付けて加工した物などがあります。
本来ガラスをデザインに合わせてカットしていないので生産効率は優れており、それに比例して安い価格で提供されていると思われます。
本物との見分け方はまた別の機会に譲るとして、年々手の込んだ、より本物に近く見せるための技術も開発されている様です。
 

■輸入物のステンドグラス

人件費の安い海外で生産された物です。
少し前まではランプシェード等の照明器具やインテリア小物が殆どでしたが、最近ではサッシメーカーの建具などに対応したパネルなども見受けられる様になりました。
輸入物の照明器具などと同様、ガラスの経済効率を優先させた物がほとんどで、奥行きのある配色や絶妙なガラスの組み合わせなどは期待できません。
 

■リペアされたステンドグラス

これも輸入物がほとんどです、海外の住宅などで実際に使用されていた物で、建物の解体の際に窓枠ごと外して安い原価で輸入した物です。
割れなどを補修し、場合によってはこちらで使用する窓枠に合わせて外側だけ作り変えたりもしています。現地でも大量生産されていた物がほとんどなので明快でピース数の少ない様式的なデザインが多く、使用しているガラスも実際に古い物が使われていて、それ故に何ともエキゾチックな雰囲気を持った物も中にはあります。
鉛ケームの劣化などによりかなり危なっかしい物もあるので、その見極めに注意が必要です。
 

■大量生産を前提としたもの

何かしら原寸大のデザインを用意しておいて、窓のサイズや縦横比に応じてそのデザインの必要な部分のみを抽出し製作した物。(写真で言うトリミングの様な方法)
デザインや原寸拡大の手間が幾分省けるのでコストダウンにつながります。
窓枠の縦横比などを無視してあまりにも取って引っ付けた様なバランスになっていないかに注意が必要です。
 

■安いからダメだとは言うことではありません

誤解のない様にお伝えしたいのですが、決してお値段が安いからダメな物だとは考えていません。場合によってはお手頃な価格のものでもその状況に応じて立派に役割を果たしてくれるものもあるかも知れません。
重要なのは上記した物が本物のオーダーメイドの物に比べ妥当な金額であるかと言う事と、設置される場所に見合った物であるかという点です。