3.ステンドグラスの移設や修理
ポイント
ステンドグラスの移設や修理は可能です。しかし制作するよりも熟練の技が必要です
せっかく取り付けた価値ある本物のステンドグラスです、先々お引っ越しなどの際には移設して再度愉しみたいものです。
また高価なステンドグラスが破損した場合の修理についても解説します。
ステンドグラスの移設
ステンドグラスとその取り付けに精通している人の手で取り外すのが確実です。
ステンドグラスを移設した例
最初はキッチンの引き戸に施工したステンドグラスを別のマンションの室内壁面に移設した例です。
横並びだったデザインを大胆にも縦並びに、でも何となく楽しい雰囲気になっていました。
比較的大がかりな取り外し
建物の取り壊しに伴い天窓のステンドグラスを取り外した例です。ガラス工事従事者で、なお且つステンドグラスの取り扱いも熟知していてもステンドグラスを破損せずに取り外すのは至難の業です。
ステンドグラスの修理
余りにひどい全損状態の場合は諦めざるをえない事もありますが、ステンドグラスの修理もたいていの場合可能です。
破損している部分や程度によって修理へのアプローチは変わってきます。状況次第では一度すべてバラして組み直す方が賢明な場合もあります。
修理もまた制作するよりも多くの経験が必要かも知れません。
また修理の技術以外に果たして同じガラスが現存するかどうかが一番の問題になる事もあります。
1.室内扉のステンドグラスが破損した例です。扉のステンドグラスが破損する原因の多くは、ペア構造にしていない事とドアクローザーを取り付けていない事です。
2.この例ではケームは温存して、破損したガラスのみを入れ替える方針で進めますので、元のケームをできる限り痛めない様に注意が必要です。
3.破損していないガラスまで割らない様細心の注意を払って分解します。
4.元の形が再現しやすいよう黒のマーカーでラインを入れ、ケームに負担をかけない様、更にガラスを対角線状に割って取り出します。
5.割り出したガラスを型にして同じガラスで同じ大きさ同じ形にカットします。
6.再生したピースを入れて組み立て。元の建具に収まる様、元の大きさにきっちりに組めていなければなりません。後は半田付けをして、バテを入れて仕上げ。
このケースでは押さえ縁に多少の加工を加え、新たに3mmフロートガラスを抱き合わせて元の建具に収めました。取りつけられていましたが調整不良で意味を成していなかったドアクローザーも調整しておきました。