こちらは玄関を入り廊下からリビングルームに至る、少し変則的な室内ドアの両袖に施工したステンドグラスです。
モチーフは桜と紅葉そして笹、日本画の世界をステンドグラスでどこまで表現できるか挑戦した逸品です。
本来この施工例のモチーフとなっている桜の花や紅葉の葉などは背景のガラスがカット不可能な形状になりやすく、具象的表現ではあり得ないガラスをカットする為のライン(介線)が必要になるのですが、この作例では「和」のテイストを感じさせる格子を全面にあしらう事により、絵柄的には無意味な「介線」---見方によってはステンドグラスらしいとも言えますが---を排除する事に成功しています。
ただ、デザインの工程を考える時、格子さえ採用すれば花や葉っぱに伴うガラスカットが出来ないピースの処理がスムーズにはかどるのかと言えばおそらく無理で、その作業には、パソコンとデザイン業界では定番のドローイング系ソフトを使いこなす事が必須条件となります。
マルグラスデザインスタジオの場合、デザインの工程でパソコンとドローイング系ソフトを使って作図作業を行っており、この施工例の様な小さな花びら一枚一枚の重なりや笹の葉の組み合わせを調整する事で、ガラスカットが可能な配置を探すなどの図案化を可能にしています。鉛筆と消しゴムでは到底成し得ないデザイン作業と言えます。